Zendeskのイベントに参加したので記録として残します。なお、本エントリーの内容は私個人のメモ書き程度となるため品質や内容に関しては保証しかねます。
ちなみに今回のセミナーは非常に参考になったので、社内で200%活用していこうと誓いました。理由は、成功しているスタートアップ企業は顧客満足度を徹底的に調査し、顧客の信頼を得ながら事業を拡大しているからです。顧客一人一人を大切にすることで、解約率を下げて年間の売り上げ・利益を上げて堅実に事業を拡大していくことが、非常に重要となってくると感じています。
今回得た情報をインプットしたことによって、社内で改善すべき点、良い部分をもっと良くしていける所が随分と見えてきました。
本エントリーは16000文字あり長文です。興味のある方だけご覧下さい。
- 概要
- 開会の挨拶
- Zendesk CEO ミッケル氏
- 顧客の購買決定の変化について
- ミッケル氏 講演まとめ
- Zendesk エバンジェリスト はらだごう氏によるデモ
- LINE株式会社 戦略企画担当ディレクター 砂金 信一郎 氏
- 【ランチ付き】パネルディスカッション:顧客コミュニケーションの「今」と「これから」
- チャット専用のチームは作っているの?
- 所感
- その他
概要
- 日時 : 2017/06/14 (水) 10:00-13:00 (受付9:30)
- 場所 :六本木アカデミーヒルズ
- タイトル : これからの優れた顧客コミュニケーションとは?
- プログラム http://signon.jp/zendesk/cet2017/
開会の挨拶
まずは日本法人 藤本社長からのご挨拶からスタート。
Zendeskの国内展開について
- 初期の顧客から得たフィードバックを得て、Zendeskの日本語化や国内での採用を強化
- 日本の契約顧客は4桁を超える規模感
- モバイルアプリから世界観を変えずにZendeskを取り入れることができる
- 多くの企業様に活用してもらえるよう 拡張性、可用性、安定性を向上するように日々精進している
- カスタマーエクスペリエンスとは、これまでのカスタマーサポートと違う観点でイメージして欲しい
- 今回のセミナーで、カスタマーサポートからカスタマーエクスペリエンスへ発展してしてもらうヒントになれば
Zendesk CEO ミッケル氏
- Mikkel Svane, CEO, Zendesk
- Title:The new era of customer relations
- ミッケル氏は日本に5~6回 来日しているほど日本が大好き
- 今回は3人の娘さんたちも一緒に来日してフクロウカフェを楽しんでいる。フクロウカフェのほか、うさぎカフェ、猫カフェは娘達にとっては超大事である
- ミッケル氏はデンマーク人
- デンマークと日本は価値観が似ている。日本から多くのことを学べる
- 日本人独自の、お客さまを尊重する気持ち、カスタマーサポートの精神を参考にしている
お客さまとの関係がどう変わってきたか?
- まず最初に、Zendeskは10年前に、デンマークのコペンハーゲンで会社を設立した
- デンマークの夏は2ヶ月間しかない。オススメはデンマークは夏に来てね、夏以外の季節は寒いよ!
- Zendeskはどんな組織でもアクセスしやすく、中小企業でも導入しやすい
10年前のZendeskについて
- 最初はたった3人でZendeskをスタートした
- ビジネスソフトウェアの常識を変えるために・・・!
カスタマーサービスシステムについて
- これまでは ビジネスソフトウェアとは高価なものだった
- しかも導入に時間が掛かる、使いづらい、デザインも微妙、お客さまのエクスペリエンスを考えていなかった
- Zendeskはビジネスソフトウェアとしてスタートして、これまでの常識を覆した。そしてZendeskはクラウドへ移行した
- FacebookやGoogleなどでヒントを得て今のZendeskができあがった
- エンドユーザーを第一に考えて、改善を重ねた
- 新しい世代のビジネスソフトウェアができた
Zendeskが他とは違って優れているところ
(1) 実際に購入する前に試してみることができた。(評価版の導入)
ビジネスソフトウェアとしてはこれまでなかった取り組み
(2)トレーニング、コンサルタント不要
- 難しい実装、インテグレーター、メンテナンス不要
- 拡張性が高く、スタートアップから大手企業まで あらゆる規模の企業でも使える。
(3) Zendeskは顧客の価値観の変化にも柔軟に対応
Zendeskは開発プラットフォームとして、これまで10年間で大きく変わってきた。
(3)については次のように紹介する
顧客の購買決定の変化について
- この10年で顧客の行動も大きく変わってきた。購買は会社から支配されて購入するのではなく、顧客自身が自己決断ができるものとなった
- 他の消費者とも情報をシェアすることができるようになった
- 昔のカスタマーサービスは、サザエさんの三河屋さんみたいなイメージ。いわゆる御用聞き
- 現在のカスタマーサービスは、モバイルコミュニケーション中心
- モバイルユーザー数は日本の人口よりも多い(32%も多い)ことになる
- たとえば日本の人口の半分がLINEを使っている
- LINEは6200万アクティブユーザー
- ということは購入をするときに友達の口コミを参考にするのである
- ちなみに、GDPは1%のみの成長だが、購買成長は10%成長だ、こんな大きなマーケットは無い
- モバイルのインパクト、SNSでの評価、イイネの数などで決定していく
- だからこそ、企業はお客さまのニーズに対応できていないのではないのか?
- カスタマーとの関係をする上で、このお客さまの変化に企業が追い切れていない現状がある
企業としての問題点
- 部門・部署の分断によってエクスペリエンスを共有できていない
- お客さまのエクスペリエンスがサイロ的に分断されて生かされない
(1) システムの分断
- 同じ部署なのに、システムが分断されてしまっている
- 部署ごとに様々な経験をしているが、システムの分断でエクスペリエンスを部署間で共有できない
(2) チャネルの分断
- チャット、メール、電話のという手段の分断
- お客さまは自分の好きなチャネルをその都度使っている
- チャネルが変わる毎に話がまた0~スタートしてしまうとお客さまも困ってしまう
- 企業はお客さまの望みに応えるべき
- お客さまが望んでいるモノ、お客さまが求めているチャネルを利用していくべきだ
- シンプルで使いやすいこと
- 素早い対応ができること
- お客さま自身で自己解決ができる、お客さまを信用してお客さま自らが解決できるように
- サポート手段・時間については企業がお客さまに押しつけていた
- サポート電話の時間が決められていたり、手段が限定されていたり
- お客さまが使いたいチャンネルが使っていたり、
- Webだったり、メールだったり、チャットだったり・・・選択肢は多くあるべきだ
(3) 自己解決
- サブスクリプションを購入するために電話をしないといけなかったりすると、それはお客さまに負担を掛けている
- これまで:企業のルールを押しつけていた
- これから:自分自身でセルフサービスができて、オンラインでアカウント情報が更新できる
(4) 透明性
- これまでは注文状況が不透明だった
- 製品が到着するまで全く組織とのやり取りがなかった
- これからは状況が変わる度にお客さまへ通知するように変わっていく。これが透明性である
- お客さまに積極的な通知、例えばフードデリバリーなど、お客さまがアプリでトラッキングできるようになっている
おもてなしの精神
- 日本には 「おもてなし」という心がある
- この気持ちを大切にして、お客さま中心に物事を考える
- 何としてでもお客さまを喜ばせるという気持ちが大切
- SNS、モバイルの登場により、おもてなしの価値観を取り入れ企業が顧客との関係を構築していく上で「おもてなし」の心が必要である
- 日本のスタートアップ企業もZendeskを取り入れている、例えば freeeやココナラ
- Airbnb:ホストとゲストの履歴が分かるため、透明性がある、自己解決をしてホストと直接コミュニケーションすることができる、大きな透明性を持って自己解決ができる
- Uber: 自己解決できるエクスペリエンスに変えていった、Uberは世界中では非常に普及している
お客さまの望みを満たせば、ビジネス成長が見込める
企業が顧客に望むこと
- ロイヤリティ
- 口コミや情報の拡散(エバンジェリズム)
- 信頼
ミッケル氏 講演まとめ
- 消費者側にパワーの拠点が移っている。消費者側にパワーがある
- お客さまのニーズや要望に今まで以上に働きかける
- 顧客ロイヤリティがビジネスを支えるといっても過言では無い
- 解約率を下げれば、企業も成長ができる
- ロイヤリティが唯一売上増加に繋がる方法
カスタマーエクスペリエンスが非常に重要
- 良い体験をすれば、それをみんなに良い口コミを広げる
- 62%が高評価の書き込みをする
- 悪い体験をすれば、ユーザーの70%が悪い口コミを広げる
お客さまの信頼関係を構築すると・・・
- ロイヤリティが高まる
- 良い口コミも広がる
- 信頼もされる
- 利益も高くなる
このためにZendekがあるんです!
これまでのビジネスソフトウェアは、企業の特定の部署のためや、独自の組織の部署のために目を向けていた。
しかし、お客さまはその企業にどのような部署があるのは関係が無いわけで、企業としてお客さまと向き合う必要がある
お客さまとの関係作りをより良い方向へ作って行くために、コミュニケーションは重要である。
Zendeskは お客さまとの関係を絆の強いモノにする
Zendesk エバンジェリスト はらだごう氏によるデモ
簡単なデモをやってもらう
Zendeskのローカライズについて
- プロダクトのローカライズが特長
- ローカライズ担当 ドレイン陽子氏(サンフランシスコ勤務)
- なんとなく「ぎこちない和訳」をしないように、Zendeskは完全に自然になっている状態
- 23言語、ヘルプセンター 33言語、
- 5年前はまだ1言語だけだった。英語のみのサポートだった
- 現在では英語のみのソフトウェアがリリースされる度にシンクリリースされている
Zendesk 最近のリリース
(1) Zendesk Talk
03番号だと非通知になるため、Zendesk Talkだと必ず番号通知ができるようになった(050/0080)
(2) Zendeskメッセージ
- LINEとの連携
- チャット機能はZendeskのチケットを発行してチャットをすることができる
- マクロ機能でテンプレート送信
- SMS、メール、Outbound通知で連絡
- プロアクティブにLINEと繋がる
- 重要な情報に関してはメールでも返信できる
LINE株式会社 戦略企画担当ディレクター 砂金 信一郎 氏
- タイトル:LINEとZendeskで実現するチャットを軸にした次世代カスタマーエクスペリエンス
LINEの主要サービスについての紹介
- LINEビーコン:水をまいたりするIoTもできる
- アプリケーションのフロントエンドをLINEのチャットを使っちゃっていいよ
- LINEの活用方法についてAIを使ったチャットボットや、レストランの提案などができる
- ローソン、ライフネット生命保険など
コールセンターの問題点
- コンタクトセンター時給が高騰、かつストレスがかかって離職率も高い
- 顧客のクレーム対応で辞めてしまう可能性も
- チャットサポートへのユーザーニーズが高まる
- 例えば、夜間・深夜帯のお問い合わせのみ、人間ではなくBotで対応するなど
カスタマーコネクトのサービス
- AIで自動応答することにより、お客さまを待たせない
- カスタマーコネクトアカウント カスタマーサービス業務として安く使える
AIのチューニングとは?
- FAQデータをひたすら投入または、CSV形式でインポート
アノテーションという作業について
- AIに教え込む作業が必要
- AIを導入してから1~2ヶ月程度、このアノテーションに必要
- この問い合わせに対してこれが正解と教え込ませる作業
AIと仕事について
- AIに仕事を奪われるのではない
- これからはAIに仕事を教え込む作業が仕事として残っていく
- カスタマーサポートだと人が集まらないが、LINEをつかったチャットサポート業務だと、「私にもできそう!」と求人を出すと応募があることも by ロハコ
チャットでの同時対応顧客数について
- チャットだと、複数の方と並行して顧客対応できる
- 担当者 1人で顧客3人~10人ぐらい
- 返答がカジュアルかどうかで並行できる人数は変動する、絵文字が使える文化だったら同時対応顧客数は上がる
電話連携 LINE to CALL
- 無料で電話ができるサービス
- ユーザーから企業の電話にコール
- 0120発信の通信用は不要になり、通信費を削減できる
- お客様を待たせない。ユーザーのストレスを削減
【ランチ付き】パネルディスカッション:顧客コミュニケーションの「今」と「これから」
パネリスト
- freee株式会社 カスタマーサポートマネージャー 小川 紀一郎 氏
- ランサーズ株式会社 カスタマーコミュニケーション マネージャー 冨樫 謙太郎 氏
- 株式会社リクルートライフスタイル ネットビジネス本部Air事業ユニット 遠田 望 氏
- 株式会社Zendesk 社長 藤本 寛 氏(モデレーター)
ランチボックスを頂きながらパネルディスカッションを聞きました。私はキーボード入力するために休憩時間でサンドイッチを食べ終わっていましたが、参加者のみなさんリラックスして話を聞いていましたよ~。
チャット専用のチームは作っているの?
- 冨樫さん:メール対応、電話対応両方のスキルを持っているメンバーが必要になる。3人でチャットサポート体制を組んでる
- 小川さん:スタートアップ企業ということもあり、チャット・メール、Zendeskと連携を取ったり、良い感じに切替ながら対応している
- 遠田さん:チャットだと一人で複数の顧客を対応すると、やっぱり3人が限界。 冨樫さん製品サポートだと3人が限界だと思われる。 会社のブランディングでスタンプOKだったら同時10人でいいのでは?
- チャットサポート対応はfreeeもサポート1人あたり顧客2~3人が限度
KPIについて
リクルートライフスタイル 遠田さん
- エアレジは40代以降のユーザーが多いため、サポートから顧客に電話をかけて確認する
- 顧客の信頼性については、たとえコストがかかっていてもお客さまに進捗をちゃんと報告するようしている。それが顧客への信頼性と繋がる
- カスタマーコミュニケーション大事
- 顧客満足度は、自動的に開発に繋げられないか、AI専門部隊に渡して、ユーザーのニーズや温度感を数値化。
- またリアルタイム性を重視し、ZendeskからSlackへ通知がいくようにしたり、試行錯誤しながら対応している
ちなみに freeeの場合、複雑な手順になった場合はチャットからメールなどに切り替えている。顧客の要望やシーンに応じて、問い合わせの手段を切り替えるようにする方法もアリ(freee 小川さん)
freee 小川さん
- 「ユーザーが本質的に価値があることを提供する」 ユーザーの問い合わせの本質を分析し、本当に必要な物を読み取る。それが難しい
- SaaSのサービスを展開する上で、顧客が自己解決できるようにサポート側でちゃんと整備しておくべきだと思う
- また、カスタマーサクセスを実現するには、サポートだけではなくマーケティングも必要
- 社内連携も重要 「カスタマーサポートが悪い」とフィードバックをもらったら、顧客に直接マネージャーや社長が電話して生の声を聞くようにしている
- NPSを取る
- NPSについては自社開発している、ログインした時点で回答してもらっている
- メールだと回答率が低くなるから、NPSの収集手段はきちんと検討する
- Zendeskとクラウドサービスは親和性が高い。 PCとインターネットさえあればどこだって仕事ができる
ランサーズ冨樫さん
- ランサーズでもお客さまに直接会いに行って、製品をよくするためにプロダクトフィードバックしてもらって、製品とサポートを良くしていこうと思っている
- Zendeskではお問い合わせのカテゴリを詳細に振り分けることができるし、顧客満足度も調査できる
- 顧客満足度を数値化して可視化することによって改善ができるようになった。 具体的に改善することによって、顧客満足度を上げることに成功
- 毎日、SQLを叩いて顧客満足度を徹底的に調査している、日々の分析は最も重要である
攻めのKPIについて(遠田さん)
- CXチームでは攻めのKPIを持っている。エアレジのアクション数(新規登録、どんなアクションをした)アクション数が低かったりするとき「何か困っていないか」とサポートから先に問いかけるようにしている
- PDCAを仮説ベースで回していって、チェックの段階で方向性が間違っていたら軌道修正しながら進めていく
- アクティブに使っている人が「良い」と評価してくれる訳では無い。 製品を長く使っていると不満が溜まっている可能性もある。Zendesk機能の一つであるInsightで深掘りして、顧客の温度感をヒアリングをして改善することもやっている
- 電話で「ありがとう」と顧客が感謝されるとサポート担当者にフラグが立つ 「ありがとう」と言われる理由を調査すると、見習うべきことが見えてくる
- チャットでも、最初はBad評価だったのが、チャットの最後になるとGood評価になっていく。顧客目線大事 (小川さん)
Zendesk Guide (旧名ヘルプセンター)の活用は?
- 遠田さん:Zendesk Guideへのページ更新は半年で500ページほど対応した
- 小川さん:Guideの投稿記事はチューニングできる社員をきちんと専任で一人以上は置いておく必要がある
- 冨樫さん:Guideは使ってない。しっかりKPIを持って運用すべきだが、Zendeskはその点やりやすい
Zendeskを活用した今後の目標
- 遠田さん:カスタマーエクスペリエンス、体験をよくしていきたい。AI、ボットによる土日祝対応、価値の提供を常に考えている AIは前捌きとしてトライしていきたい
- 冨樫さん:チャットボットは今後かなり力をいれていきたい。接客マーケティングが今後のトレンドになってくると信じて対応している
- 小川さん:カスタマーサポートによりビジネスを広げたい。 オンボーディングに注力したい。freeeのカスタマーサービスは購入頂いてからどう使って頂くかが鍵。使いこなしていただきたい。
所感
- LINE のイメージが変わった。時代が変わってきたことを実感した。 ZendeskとLINEも連携できて、チャットもチケットとして起票される
- 守りのサポートから、攻めのサポートへシフトすることも必要だと感じた。 顧客との信頼感が増すし、安心して製品を使用できる
- 今回のセミナーで多くの学びを得たので、特に顧客満足度の調査やAIの活用は是非参考にしたい
開演前の気付き
9時30分ちょうどに受付を済ませ、一番よい席を確保。フレッシュネスバーガーの美味しいコーヒーをいただいて、開演を待ちました。
開催1週間前に到着した受講票メールには、「先着50名様にコーヒーをご用意しております」と案内がありましたが、ちゃんと参加者人数分を用意している手法にはセミナー遅刻者を減らすための対策になっているのかもしれませんね。 とても参考になります。
その他
六本木アカデミーヒルズ49階からの眺め。都内に住んでいるけど、私の住んでいる地域では高層ビルが無いので、すごく眺めが良かったです。
最後に、このような素晴らしいイベントを無料イベントとして主催されたZendesk関係者の皆さまに御礼を申し上げます。Zendesk、そして日本人の「おもてなし」の精神をこれからも心掛けて日々業務に励みます。
続編はこちらから